コラム
COLUMN
入退室管理におけるカード認証システムの種類と認証リーダー
個人情報や社内の備品を守るのに必要な入退室管理は企業にとって欠かせないものです。人の出入りを管理・制御する入退室管理において、広く普及しているのが、カード認証システムです。ドア周辺のカードリーダーにカードをかざして本人確認するカード認証の種類には、Mifare、FeliCa、EMなどさまざまな種類があります。
◎カード認証システムを使った入退室管理
現代は個人情報保護法の施行やマイナンバーカードの登場により、組織は適正に情報を管理する責任が厳格に問われています。入退室管理とは、施解錠のアクセス制御で人の出入りを正確に記録・管理することです。リーダーと呼ばれる認証機器で本人確認をすると、認証の結果に応じて解錠し、入退室できる仕組みです。社員証や会員カードなど多彩な種類を持つカード認証は、日常生活になじみの深い認証方法です。カード認証は、持ち運びのしやすさや導入の手軽さ、選択できる種類の豊富さから多くの現場で採用されています。カード認証による入退室管理システムを導入すると、部屋の用途や時間帯などに応じてセキュリティレベルを手軽にコントロールできます。エントランスは全従業員が持つ共通カードで解錠でき、資料の保管庫やサーバールームなどでは、特定の人物のみ解錠許可を付与するといった運用も可能です。このようにカード認証による入退室管理では、属性やカードの種類などによって、入室制限や人物の認証履歴を確認できます。

◎カード認証システムに使用できるカードの種類
カード認証に使用できるカードには、黒い磁気テープがカード裏面に貼られた磁気カードと、シリコンなどの半導体表面に電子回路を組み込んだICチップを内蔵するICカードの2種類があります。現代では、磁気カードに比べより膨大な情報を格納できるICカードが、入退室管理の主流です。カード認証で使用するICカードは、大きく分けて「接触式」「非接触式」「デュアルインターフェース式」の3種類になります。接触式のカード認証では、リーダーにカードをスライドさせるなどしてカード表面の金属端子に格納された情報を読み取らせ、本人かを確認します。カード内に記憶させた情報を直接リーダーで読み取るため、安定した動作が可能で、キャッシュカードやクレジットカードに採用されています。非接触式のICカードは、カード内部の層に組み込まれたアンテナによって、リーダーと情報を送受信する仕組みです。リーダーの電波圏内で行う無線通信で認証するため、リーダーにカードを近づけるのみで認証できます。デュアルインターフェース式のICカードは、接触式と非接触式の通信機能を併せ持つ利便性の高いカードです。電子マネー付きクレジットカードのように、接触式のICカードに非接触式で通信可能な電子マネー機能を加えるといった活用が可能です。カード認証による入退室管理で主に採用されているICカードは、さらにカード自体に通信規格ごとの種類が存在します。国内で普及しているICカードの種類は、主に「Mifare」「FeliCa」「EM」の3つになります。オランダのNXPセミコンダクターズが開発したMifareカードは、ICカードの国際標準化規格であるISO14443に準拠するICカードです。世界で広く普及しており、国内ではタバコ購入用カードのTaspo(タスポ)や社員証などに採用されています。日本のソニーが開発したFeliCaカードは、約0.1秒でカードの情報を読み書き可能な高速通信が特徴です。混雑時でもスピーディーな認証が求められるPASMOやSuicaといった交通系ICカードで多く活用されています。高いセキュリティ性能を持つことから、WAON、nanacoなどの電子マネーやおサイフケータイといった決済システムなどにも幅広く採用されるカードの種類です。EMマリーン社が開発したEMカードは、金属や水分の影響を受けにくい特徴を持つICカードです。日本国内では入退室管理におけるカード認証に採用されることが多くなっています。
◎カード認証システムによる入退室管理のメリット
カード認証での入退室管理は、従来の金属製の鍵での運用と異なり、カードをかざした日時や操作した人物が自動で記録されます。鍵の向きを気にして操作する必要がなく、ドアまたはドアの周辺に設置されたリーダーの認証部分にカードをかざすのみで解錠できます。屋外に面した建物や夜間の出入りが必要な業種においても確実に認証します。入退室管理の種類のなかには、指で番号を入力する暗証番号式や指を当てる指紋認証式も存在します。入退室管理のなかでも、カード認証はシンプルな操作で利用でき非接触のため、駅や空港など不特定多数の人が行き交う場所にも導入されています。入退室管理のカード認証で使用するカードは薄型のため財布や定期券に収納して持ち運び可能です。金属製の鍵のようにかさばらず、普段から持ち歩く貴重品と携行できるため、紛失のリスクを最小限にできます。カード認証による入退室管理では、リーダー側とカード側を通信させることで本人かどうかを判定します。カード認証は、入退室管理用のパソコンやリーダーからカードの削除や登録が容易です。従来の物理鍵のように、紛失時にシリンダー(鍵穴)ごと交換する必要がないカード認証を導入すると、急なトラブルによる建物への侵入を防げます。物理鍵は鍵番号から鍵を不正に複製されるケースが存在しますが、カード認証で使用するカードの複製はメーカーや代理店に申請が必要なため、無断複製は困難といえます。入退室管理においてカード認証を使用するメリットのひとつが、複数の種類のカードでリーダーを使用できる点です。カード認証では、FeliCaやMifareといった通信規格の種類が一致していれば、交通系ICカードや社員証、警備会社の入館カードなどを鍵として併用できます。カード認証は新規で鍵を作成する費用が不要なため、社員の採用活動に伴うコストを抑えたまま、厳格な入退室管理が可能です。

◎カード認証システムに対応したリーダー
カード認証には通信規格の種類があり、目的に応じて選択できます。生体認証など別の方法と組み合わせることで、より防犯性を高めた入退室管理も実現可能です。
○KJ-3400
KJ-3400は、幅48㎜×奥行き38㎜×高さ138㎜とコンパクトなため、省スペースで設置できるリーダーです。カード認証や生体認証のひとつである指紋認証など多彩な種類の認証に対応しています。カード認証は、Mifareカード、FeliCaカード、EMカードといった種類に対応しており、任意の種類のカードを選んでの利用が可能です。異なる種類のカードを併用して入退室管理を行うことも可能で、iClass、iClass SE、HID Prox、Indalaといった種類のカードも使用できます。4万件分のカードをカード認証のユーザーとして登録し、認証可能です。
○KJ-3300
KJ-3300は、同シリーズで小型のKJ-3400の親機としても使用できるリーダーです。KJ-3400を子機として活用することで、複数の管理エリアを持つ大規模な店舗などでも、容易にカード認証による入退室管理が可能になります。キーレスで利便性の高いカード認証のほか、暗証番号での認証や指紋認証での本人確認も可能で、異なる認証方法を組み合わせた利用も可能です。カード認証に使用できるカードの種類は、FeliCa、Mifare、EM、iClass、iClass SE、Indalaです。カードの種類を組み合わせたり、単体のカードの種類を選んで認証ができます。
○KJ-3500
KJ-3500は、カード認証や暗証番号キー、指紋認証での入退室管理に対応したリーダーです。FeliCa 、Mifare、EM、HID Prox、iClass、iClass SE、Indalaといった種類のカードを使用して入退室管理ができます。複数の種類のカードに対応するマルチカードリーダーのため、異なる種類を組み合わせたカード認証も可能です。USBメモリーやSDカードを使用して、本体内にあるカード認証の履歴を手軽にバックアップできます。水分や塵などへの高い耐性を示すIP65規格に対応しているため、雨風にさらされる屋外でのカード認証も可能です。
○FE-400
設置場所を選ばないスリムサイズのFE-400 は、カード認証や顔認証に対応したリーダーです。入退室管理の目的や場所に応じて、複数の認証方法の併用が可能です。建物のエントランスでは顔認証を使用し、部署ごとのエリアではカード認証で出入りするといった異なる種類の運用で入退室管理ができます。カード認証ではMifare、EMPROXのほか、近距離無線通信規格のNFCに対応する種類のICカードを使用可能です。NFC搭載のスマートフォンや、国内で広く普及している交通系ICカードといった種類のカードを使った入退室管理システムを構築できます。
○FE-500
FE-500は、カード認証、顔認証、スマートフォンを使ったQRコード認証で入退室管理ができるリーダーです。Mifare、EM、HIDから任意の種類のカードにより入退室管理ができ、異なる種類を併用したカード認証も可能です。FE-500には管理者モードが搭載されているため、外部だけでなく内部の人間による入退室管理の改ざんを防止できます。月ごとの認証記録の集計は、製品本体の端末から抽出し、入退室管理専用のパソコンからレポート出力が可能です。カード認証で管理したい複数のエリアを社内ネットワークに連携させておくことで、離れた支店のカード認証履歴を本部で確認できます。
○FE-600
FE-600は、カード認証、指紋認証、QRコード認証、顔認証に対応したリーダーです。認証部分のIPSタッチパネルは、視認性の高い5インチサイズのため、利用者を選ばないスムーズな入退室管理が可能です。カード認証ではMifareカード、HIDカード、EMカードの通信規格のなかから、任意の種類を選んで使用できます。配布済みの社員証を鍵として使用すれば、新たな鍵の発行や貸し出しの必要がなくなるため、安全で利便性の高い入退室管理が可能です。異なる種類のカードを併用したカード認証も可能なため、従業員、定期的に出入りする業者、顧客などが混在しても認証履歴から迅速に入退室管理を把握できます。

◎入退室管理におけるカード認証の活用シーン
カード認証システムの導入により、オフィスや店舗のセキュリティが一段と向上します。従業員の安全確保や勤怠管理の効率化に貢献します。
○オフィス
カード認証では、無線通信などによるIDの照合で、社員の本人確認を正確かつスピーディーに行えます。大人数を雇用するオフィスでも、異なる種類のカードを使用できるため、混雑時でもストレスのない出退勤が可能です。カード認証による入退室管理を採用すると、組織の運営スタイルにあわせた柔軟なセキュリティシステムを実現します。1枚のカードを使用してPCのログインや閲覧、プリンターの使用を制限することも可能なため、日常業務の利便性を保ったまま厳密な入退室管理が実現します。電子マネー機能を付加したカード認証で入退室管理すれば、休憩室や食堂における飲食時の決済で財布を持ち歩く手間を省き、貴重品の紛失トラブル防止や従業員の満足度向上に貢献できます。
○店舗
ショッピングモールなどの大型店舗においては、大勢の従業員の入退室管理を正確に行うことで防犯性を保っています。カード認証は新規登録や削除を、入退室管理用のパソコン画面やリーダーで容易に行えます。スタッフの入退職に伴う引継ぎ作業で忙しい際にも、少ない負担で鍵の発行が可能です。役職ごとにカードの種類を分けて入室制限を設けることも可能なため、備品の無断持ち出しといったトラブルを防げます。カード認証を勤怠管理システムと連携させると、カードでの入退室の日時に応じた正確な勤怠状況の把握が可能なため、労務管理の利便性が向上します。
◎まとめ
組織の入退室管理において、カード認証は柔軟なセキュリティを維持する役割を果たします。KJTECH japanでは、国内で主に使われるICカードの種類であるMifare、FeliCa、EMなどに対応したリーダーを多数取り扱っております。カード認証による入退室管理システムの導入をお考えの方は、KJTECH japanまでお問い合わせください。