コラム
COLUMN
機密情報を守るために生体認証を活用した入退室管理システムの導入
企業を取り巻く情報漏洩リスクは年々高まり、サイバー攻撃の高度化や内部不正、人的ミスによる流出は後を絶ちません。ひとたび情報が漏洩すれば、競争力の喪失や社会的信用の失墜など、さまざまなリスクに直結します。徹底した入退室管理で、こうした情報漏洩を未然に防ぐ手段として有効なのが、生体認証です。本人確認を強化し、不正侵入を抑止する生体認証は、多くの企業で導入が進んでいます。
◎情報漏洩が企業にもたらす深刻なリスク
現代の企業において、情報は競争力を支える最も重要な資産のひとつです。しかし、情報漏洩のリスクは年々高まっており、サイバー攻撃の高度化に加え、内部不正や人的ミスといった要因も依然として多くの漏洩を引き起こしています。攻撃者はマルウェアやランサムウェアなどの手口を駆使して外部から侵入を試み、内部では従業員の不注意による誤送信やUSBメモリの紛失、不正な情報持ち出しといった事案が後を絶ちません。こうした多様な要因による漏洩は、企業に甚大な経済的・社会的ダメージを与えます。製造方法や新製品の企画書といった技術情報が漏洩した場合、競合企業や悪意ある第三者に模倣や技術流用を許してしまいます。その結果、長年培った技術力や開発力が不正に利用され、自社の競争力は著しく低下します。不正競争のリスクは一時的な損害にとどまらず、事業の優位性そのものを根底から揺るがすのです。また、特許情報や研究開発の成果が流出すれば、模倣製品が市場に出回り、知的財産権の侵害を招く可能性が高まります。とくに、研究開発には多額の投資と時間が必要であり、成果が外部に漏れればその投資が無駄になるだけでなく、競合に対して技術的に不利になってしまいます。さらに、特許権の侵害や裁判に発展すれば、法的対応に莫大なコストを割かざるを得なくなります。販売戦略の流出も大きな脅威です。新規市場への参入計画や販売施策が競合に知られれば先手を打たれ、自社は価格競争や販路獲得で不利な立場に追い込まれます。とくに、販売戦略は企業の収益を支える要であり、その漏洩は直接的に業績悪化へとつながる可能性があるのです。また、商談内容や見積書の流出は、取引条件を競合に利用される危険性を高めます。たとえば、顧客との交渉過程で提示した条件が競合に渡れば、より有利な条件を提示され、契約を失う可能性が格段に高まります。営業活動の成果が無駄になってしまうだけでなく、長期的な取引機会をも喪失しかねません。財務データの漏洩もまた深刻なリスクを伴います。財務状況が外部に流出すれば、投資家や取引先からの信頼を損ない、株価下落や資金調達の困難に直結します。資金繰りの悪化は事業継続に大きな影響を与える可能性があり、経営危機を招く引き金となり得るのです。契約書や取引先情報が漏れた場合には、取引先との信頼関係が崩壊する恐れがあります。これは取引停止や訴訟といった重大なトラブルに発展し、企業の信用に甚大な傷を残します。信頼を失った企業は新たな取引機会を得ることが難しくなり、事業拡大の障害となります。システムのアクセス権限情報や生体認証の生体情報の流出も見逃せません。これが外部に渡れば不正アクセスの入口となり、システム全体が深刻なサイバー攻撃にさらされる危険があります。たとえ小規模な情報流出であっても、侵入口を与えてしまえば大規模な被害につながる可能性は高いのです。生体認証の生体情報に関しては、暗号化や特徴点を数値化して変換するテンプレート化によって保護すれば、実際の指紋や顔などのデータそのものの流出は防げます。また、企業にとって個人情報の漏洩も非常に大きなリスクです。顧客や従業員の氏名・住所・生年月日といった情報が流出すれば、詐欺や不正利用に悪用される可能性が高まり、企業は損害賠償責任を負うことになります。とくに、近年は個人情報保護に関する規制が強化されており、個人情報保護法に違反した場合には立ち入り検査や行政指導が行われるほか、従わなかったり虚偽報告をすれば罰金が科される可能性もあります。こうした制裁は金銭的損失だけでなく、社会的評価の低下を招くことになるのです。さらに、一件の漏洩であってもSNSやメディアを通じて瞬時に拡散され、企業の社会的信頼を大きく損ないます。たとえ直接的な金銭的被害が小さくても、ブランドイメージの低下や顧客離れが長期的な経営ダメージをもたらします。情報漏洩が発覚した企業は、危機管理の甘さを厳しく追及され、社会的信用の回復には長い時間を要するのです。このようなリスクに対応するためには、暗証番号やカードに依存しない生体認証の活用が有効です。本人固有の特徴を利用する生体認証を導入することで、なりすましや不正侵入の可能性を根本から防ぐことができます。
◎入退室管理システム導入による情報漏洩対策
情報漏洩対策のひとつとして、入退室管理の強化が求められています。しかし、従来の暗証番号認証やカード認証だけでは、盗難や貸し借り、不正コピーといったリスクを完全に排除することは困難です。そこで注目されているのが、生体認証を活用した入退室管理システムの導入です。生体認証は、指紋・顔・静脈といった本人固有の特徴を利用するため、他者がなりすまして入室することが極めて困難であり、情報漏洩を未然に防ぐ強力な手段となります。まず、生体認証を入退室管理に導入する最大の利点は、不正侵入の防止です。ICカードや暗証番号は第三者に渡った時点で不正利用されるリスクがありますが、生体認証は本人の身体的特徴そのものを利用するため、貸与や盗難による被害を根本から防ぐことができます。これにより、内部不正による情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。さらに、生体認証システムの導入は、高いセキュリティ性を確保する上で欠かせません。暗証番号認証やカード認証では突破できてしまうケースも、不正侵入を試みる者にとって生体情報の偽造は極めて難しく、生体認証の導入は大きな抑止力を発揮します。写真や映像を用いた不正を防ぐ顔認証や、体内の血管パターンを利用する静脈認証などの生体認証を導入することで、既存の入退室管理では防ぎきれなかったリスクにも対応できるのです。また、生体認証の導入による効果として重要なのが、認証履歴のログ管理です。すべての生体認証による入退室記録をイベントログとして残すことで、内部不正が疑われる場合に迅速な調査や監査対応が可能になります。「いつ」「誰が」「どのエリアに入室したか」が生体認証のログによって明確に残るため、万が一のトラブル発生時も責任の所在を明確化できます。これにより従業員のセキュリティ意識も高まり、不正行為の抑止につながります。とくに、機密情報を扱うエリアでは、生体認証を組み合わせた二重認証の導入が効果的です。顔認証と指紋認証、静脈認証と顔認証といった複数の生体認証を組み合わせることで、セキュリティレベルをさらに強化できます。生体認証による二重認証の導入は、研究開発施設の技術情報や財務部門の重要データといった極めて高い機密性が求められる情報を、より安全に守ることができるのです。加えて、生体認証の導入は単なるセキュリティ対策にとどまらず、企業価値の向上や取引条件の改善にもつながります。PマークやISMSといった情報セキュリティ関連の認証取得を目指す企業にとって、生体認証システムの導入は有効なアピールポイントとなります。また、取引先や顧客に対しても、生体認証の導入によって徹底した情報管理を行っていることを証明でき、信頼性向上やビジネス機会の拡大にも発展します。さらに見逃せないのが、生体認証導入による利便性の向上です。従業員は生体認証の導入によって、カードを持ち歩いたり暗証番号を記憶したりする手間がなくなり、日常業務の効率が改善されます。生体認証のなかでも、非接触での顔認証や高速な指紋認証はスムーズな入退室を可能にし、混雑緩和にもつながります。この生体認証の利便性が従業員の利用促進を後押しし、セキュリティ対策が形骸化せずに継続されるという効果を生み出すのです。このように、生体認証を活用した入退室管理システムの導入は、情報漏洩を防ぐ強固な仕組みとして企業に大きなメリットをもたらします。
◎情報を守るための静脈・顔・指紋を活用した生体認証
情報漏洩対策として導入される生体認証のなかでも、指紋認証・顔認証・静脈認証はそれぞれ異なる特徴を持ち、適切に導入することで高いセキュリティ効果を発揮します。生体認証である指紋認証の導入はその認知度の高さから、利用者が抵抗なく導入を受け入れやすい特徴があります。導入後も利用が定着しやすいため、継続的に生体認証の安定したセキュリティ環境を確保できます。指紋は一人ひとり異なる特徴を持ち、他者が代わりに利用することはできません。そのため、代理での入退室を防ぎ、内部からの不正な情報持ち出しを抑止します。さらに、指紋は年齢を重ねてもほとんど変化がないため、長期的に安定したセキュリティを維持できるという強みがあります。生体認証である顔認証導入のメリットは、高い利便性と不正侵入の抑止を両立できる点です。生体認証のなかでも顔認証は複数人を同時に認証できるため、大規模オフィスや工場など多くの従業員が出入りする環境で有効です。また、写真や映像を使った不正ななりすましを防ぐライブ検出機能は、外部からの侵入を強力にブロックします。加えて、生体認証のなかでも顔で認証を行うという特性上、その姿が記録されるという心理的な抑止力が働く効果もあります。生体認証によるセキュリティ強化と利便性の両立は、日常の業務負担を増やすことなく、確実に情報を守る体制を構築できます。より高いレベルで生体認証のセキュリティを必要とする施設には、静脈認証の導入が最適です。生体認証である静脈認証は体内の血管パターンを利用するため、偽造や複製が極めて困難であり、他者による不正利用を確実に防ぎます。また、手荒れや乾燥、怪我、汚れなどの外的要因に左右されにくく、安定した認証が可能です。これにより認証エラーを大幅に減らし、生体認証精度の隙を突いた不正侵入を防止できます。とくに、研究開発部門や財務関連エリアなど、極めて重要な情報を扱うエリアでは、生体認証のなかでも静脈認証の導入が大きな効果を発揮します。KJ TECH japanでは、指紋認証・顔認証・静脈認証を活用した入退室管理システムを取り扱っており、これらの生体認証を組み合わせた二重認証の導入によって、さらに信頼性の高いセキュリティ体制を構築することができます。生体認証を2種類以上活用する二重認証は各々の利点を高め合い、最高水準のセキュリティを求められるエリアでとくに有効です。生体認証のそれぞれの特徴をいかし、利用シーンに応じた適切な組み合わせで導入することで、企業は多様化する情報漏洩リスクに対して強固なセキュリティ対策を講じることができるのです。


◎情報漏洩対策に有効な入退室管理システムの導入事例
情報漏洩リスクが高い場所では、生体認証を活用した入退室管理の強化が不可欠です。その場所の課題や扱う情報の重要度に応じて適切な生体認証を導入することが、効果的なセキュリティ対策につながります。
⚪︎研究開発施設の情報漏洩対策に有効な静脈認証リーダーFE-700VEを導入
研究開発施設では、特許情報や新製品の企画書、製造方法といった高度な機密情報を扱うため、徹底した入退室管理が求められます。そこで、静脈認証・顔認証・カード認証・暗証番号認証に対応したFE-700VEを導入し、生体認証を組み合わせた二重認証によりセキュリティレベルを一段と高めることができました。認証速度は0.5秒未満と高速であり、研究員の業務を妨げることなくスムーズな入退室を実現しています。生体認証である顔認証・静脈認証の登録可能件数はともに10,000件で、大規模な研究施設においても、研究員や関係者全員を網羅できる登録容量を備えています。生体認証の高度な認証精度により、情報漏洩リスクの高い研究データや技術資料を確実に守り、安心して研究開発を推進できる環境が整えられています。
⚪︎工場の生産ラインの情報漏洩対策に有効な顔認証リーダーFE-500を導入
製造業の工場では、生産ノウハウや工程管理データなどの漏洩が競争力の低下につながります。そこで導入された生体認証である顔認証リーダーFE-500は、最大50,000件の登録が可能で、大規模工場でも安心です。非接触での高速認証が可能な生体認証であるため、作業員が手袋や工具を持ったままでもスムーズに利用でき、業務効率を妨げません。また、マスクを着用していても正確に認証できるため、衛生管理が求められる工場でも有効な生体認証です。さらに、ライブ検出機能により、写真や映像を使った不正侵入を防ぐことが可能になりました。
⚪︎オフィスの情報漏洩対策に有効な指紋認証リーダーKJ-3400Fを導入
企業のオフィスではエリアごとに扱う情報が異なり、それぞれに応じて生体認証を活用したセキュリティ対策が必要となります。オフィスのエントランスでは世界最速クラスの認証速度を誇る指紋認証KJ-3400Fの導入により、入退室の混雑を防ぎます。サーバールームや文書保管室では、指紋認証とカード認証の二重認証を導入し、契約書や財務データの持ち出しを抑止します。人事・総務部門では精度の高い生体認証により個人情報の漏洩を防止し、万が一不正入室が発生した場合でも、200,000件のイベントログで詳細な追跡が可能です。指紋認証リーダーKJ-3400Fは、スリムな生体認証機器で設置環境を問わず、オフィスのあらゆるエリアで生体認証を活用した情報漏洩対策を効率的に強化できます。
◎まとめ
企業を取り巻く情報漏洩リスクに対応するためには、本人固有の特徴を利用する生体認証の導入が不可欠です。環境ごとに適切な生体認証を導入することで不正侵入を防ぎ、内部不正の抑止や監査対応にも有効な体制を構築できます。生体認証である静脈認証・顔認証・指紋認証を活用した入退室管理システムの導入をお考えの際は、KJ TECH japanまでお問い合わせください。